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これまでにない新たな効率化の可能性: 産業オートメーションにおけるアームエンドツール(EOAT)と3Dプリント

アームエンドツール(EOAT)とは、エンドエフェクターとも呼ばれ、ロボットアームやマニピュレーターの先端に取り付けられる装置やアタッチメントを指します。これらのツールは、工場の多くのプロセスに不可欠なコンポーネントであり、ロボットによる自動化でさまざまな作業をすばやく正確に行う上できわめて重要です。


EOATは工業生産の重要な要素であるため、ツール設計が、ロボット自動化の効率性、品質、費用対効果に直接影響を及ぼします。このブログでは、EOATの使用方法、設計上の考慮事項、コンポーネントを3Dプリントするメリットなど、EOATの基本事項について詳しく説明していきます。また、3DプリントしたEOATの5つの活用事例についてご紹介していきます。

EOATの用途

EOATは、製造ラインで物をつかむだけではありません。ロボットアームにカメラを取り付けて品質管理を行うような使い方もできます。


EOATの一般的な用途は、次のとおりです。


ワーク保持具またはグリッパー: グリッパーは物を保持して移動するように設計されています。グリッパーには2本指のものから、より複雑な構成のものまであります。グリッパーやワーク保持具は、産業用エンドエフェクターの大半を占めています。


静的操作ツール: これらのツールは、金属の溶接、穴あけ、曲げなどの作業に使用されます。多くの場合、これらのツールは固定されているか、特定の位置に据え付けられています。


観測ツール: EOATには、他の作業プロセスを観測するカメラやセンサーを搭載して、品質検査、部品識別、マテリアル操作などを行うことができます。


塗布および噴霧装置: 塗装や接着剤塗布などの用途で、塗料噴霧または接着剤塗布装置などのツールが使用されます。


ツール交換装置: 手動で操作することなく、ロボットを別のツールやエンドエフェクターに切り替えることができます。これは、ロボットで複数のタスクを実行する場合や、異なる複数の物を扱う場合に特に便利です。


ドライバーとナットランナー: これらのツールは、組み立て作業でネジ、ボルト、ナットを締めるのに使用します。


吸着カップまたはバキュームグリッパー: これらのツールは、ガラスやシートメタルなどの滑らかで平らな面を持つ物を持ち上げて動かすのに使用されます。


切断ツール: マテリアルの切断やトリミングを伴う作業では、ロボットに切断ツールやブレードを装着することができます。

EOATの設計に関する考慮事項

EOATの設計では、取り扱う対象物のサイズや重量、求められる精度、生産環境、安全への配慮といった要素を考慮する必要があります。目標は、特定の作業に対するロボットの性能と効率性を最大限に高めることです。


対象物の特徴: EOATで扱う対象物のサイズ、重量、形状、素材を把握します。このような特徴に対応できるようにツールを設計し、しっかりと対象物をつかんで、操作できるようにします。


作業の要件: エンドエフェクターで物をつかむ、観測する、力を加える、溶接する、切断する、またはその他の機能を実行する必要があるかどうかを考慮します。これはツールの設計に影響します。


強度重量比: EOATの強度は、ロボットが装置の損傷を回避しながらジョブを実行する上で非常に重要です。強度を維持しながら軽量化を行うことで、さまざまな形でロボットの性能を最適化できます。ツールを軽量化すると、ロボットは少ない消費電力ですばやく正確に作業を行うことができます。これは、生産性の向上とコスト削減につながります。また、ツールを軽量化することで、メーカーは小型で安価なロボットを使用できるようになります。


素材の選択: 強度、耐久性、重量、環境との適合性などの要素に基づいて、EOATコンポーネントの素材を選択します。


重量配分: ロボットアームに過大な荷重がかかったり、精度を損なうようなアンバランスが生じないように、EOATコンポーネントの重量バランスを確保します。


取り付けと適合性: ロボットのエンドエフェクターのインターフェイスに適合し、簡単に取り付けできるようにEOATを設計します。


プログラミングと制御: プログラミングしやすく、ロボットの制御システムと簡単に統合できるように必要な機能を考慮してEOATを設計します。これには、グリップ方法、モーションプロファイル、他のロボット機能との連携などが含まれます。


適応性とツールチェンジャー: EOATをさまざまな作業に適応できるようにする必要があるかどうかや、エンドエフェクターをすばやく自動的に交換するためのツール交換装置をサポートする必要があるかどうかを考慮します。


容易な統合: EOATを既存の生産ライン、協働ロボットシステム、その他の自動化装置に容易に統合できるようにします。


コスト効率とサプライチェーン: 工場の予算やニーズに基づいたリードタイムを考慮して、性能と機能のバランスを確保します。産業用3Dプリントにより、ツールの性能を損なうことなく、コスト効率に優れた形で必要に応じてEOATをすばやく製造できます。


耐久性とメンテナンス: 摩耗しやすいEOATコンポーネントの交換を簡単に行えるようにし、メンテナンス手順を容易にすることで、ダウンタイムを最小限に抑えます。

EOATを3Dプリントするメリット


3Dプリント(積層造形)は、産業用ロボットのEOATの設計と製造に大きな進歩をもたらしました。3Dプリントテクノロジーの利用にはさまざまなメリットがあり、EOAT設計の世界に大きな変革をもたらしています。主な利点は、次のとおりです。


ツールの入手の迅速化: 3Dプリントを使うと、数時間から数日でツールを入手できますが、生産を外部に委託した場合、数週間から数か月かかることがあります。アームエンドツールの製造に12週間かかる場合、生産セルを実稼働させるのまでの期間が16週間だとすると、ロボットアームを最適化するのに必要なプログラミング、テスト、確認を残りの4週間で行う必要があります。パーツを早く入手することができれば、プログラミングを最適化し、ワークフローの処理能力を確認する時間を増やすことができます。


デジタルインベントリ: 3Dプリントを活用することで、メーカーはEOAT設計のデジタルリポジトリを作成して管理できます。実物の在庫を大量に維持する代わりに、ユーザーはパーツをクラウドに保管し、ネットワークに接続されたプリンターにオンデマンドでプリントすることができます。


コスト効率: 多くの場合、3Dプリントを利用することで、EOATコンポーネントの製造コストを大幅に削減できます。マテリアルの無駄が少なくなり、ツールコストもかかりません。また、カスタマイズや設計変更、複雑な形状を使用する場合でも、追加のセットアップは必要ありません。たとえば、Dixon Valve社は、290ドルの機械加工によるグリッパーを、わずか9ドルでプリントできる3Dプリントによるコンポジットグリッパーに置き換えました。


設計の自由度の向上: アディティブ製造によって、従来の製造方法では実現が困難または不可能な複雑な形状の作成が可能になっています。これにより、EOATの設計に新たな可能性が開かれ、ユニークなタスクに対する革新的なソリューションや、より高いレベル最適化が可能になります。


高強度、軽量: 3Dプリントでは、EOATコンポーネントの重量を大幅に削減できます。ツールを軽量化することで、ロボットアームへの負担が軽くなり、消費電力が減って、パフォーマンスの向上につながります。強靭な連続ファイバー強化複合材料は、強度や剛性を損なうことなくパーツの軽量化を可能にします。

Dixon Valve社の3Dプリントコンポジットグリッパー

3DプリントしたEOATの例

スポット溶接シャンク: これまで、機械加工による銅製シャンクには1個あたり約2,500ドルのコストがかかり、12週間のリードタイムが必要でした。これらのシャンクは組み立てに不可欠であるため、在庫を確保しておく必要があり、これにはスペースとコストがかかります。


シャンクを純銅で3Dプリントすることで、リードタイムを12週間から1週間に短縮し、1個あたりのコストを2,500ドルから約350ドルに下げることができます。3Dプリントを使うと、スペアパーツを大量に在庫しておく必要がなくなるため、在庫に必要なコストを大幅に削減できます。


コンポジットロボットグリッパージョー: Dixon Valve社は、Markforged Mark Two 3Dプリンターを利用してロボットアームツール用の耐薬品性グリッパージョーを作成することで、コストと時間の大幅な削減を実現しました。これらのジョーは、マシニングセンター間での管継手の移動に使用され、反復されるクランプ動作中に腐食性流体に触れてもこれに耐えられるものでなければなりません。わずか24時間でロボットアームの取り替えができるようになったことで、Dixon Valve社は、これらの部品の生産に必要なコストを96%削減し、リードタイムを93%短縮することができました。


金属IDグリッパージョー: Dixon Valve社は、ロボットアーム用のアームエンドツール(EOAT)の製造にMarkforgedのコンポジット3Dプリンターを利用してきましたが、摩耗面の保持が可能なグリッパーの製造に関する問題に直面していました。これらは表面の硬度が熱可塑性プラスチックに近いため、グリッパーの溝がすぐに磨滅していたためです。


Dixon Valve社は、Metal Xを導入してこのグリッパーをプリントすることで、3Dプリントのメリットを維持しながら、パーツの耐久性を向上させて、尖った溝の磨滅への耐久性を確保することができました。この金属3Dプリントへの移行により、Dixon Valve社は98%のコスト削減と91%のリードタイム短縮を実現しました。これらのジョーは、磨滅することなく、何千ものステンレス鋼の管継ぎ手を処理できる硬度を備えています。

Dixon Valve社の3Dプリントした金属グリッパー

プロセスの改善による利益の向上: 受託製造業者であるLean Machine社は、新規発注に対して製造プロセスを増設する能力に制約がありました。Lean Machine社は、Markforgedのプリンターを利用することで、これまで数週間かかっていた利益率の高い製造セルの構築を数日で行えるようになりました。Lean Machine社は顧客数を増やし、より多くのパーツを生産することで、利益の向上を実現しました。以下のビデオで、Lean Machine社の3Dプリントで作成したカーボンファイバー製グリッパージョーをご確認ください。


EOATによる自動製造: Athena 3D Manufacturing社は、質の高いMarkforgedのプリンターで作成したパーツを顧客にすばやく届ける方法を模索していました。同社は、技術者がいないときでもプリンターの切り替えを行えるように、協働ロボットアームを設置しました。その結果、Markforgedのプリンターフリートの稼働率が40%向上しました。

EOATのプリントにMarkforgedが選ばれる理由

プリント複合材料の卓越した重量比強度: 当社の特許技術である連続ファイバー強化(CFR)テクノロジーでは、アルミニウム並みの強度を持つはるかに軽いパーツをすばやく製造できます。


多くの設計時間を必要としない軽量金属: 当社のMetal Xシステムは、金属製造を優れたコスト効率ですばやく簡単に行うことができる初のアディティブ製造ソリューションです。


Markforged Metal Xシステムは、ルースパウダーではなく結合パウダー原料を使用しているため、安全で使いやすくなっています。高度なトレーニングを受けたオペレーターや各種PPEは不要で、ステンレス鋼、ツール鋼、純銅、インコネルなどをプリントできます。


迅速な設計サイクル: プリントを実行する前に、当社のシミュレーションソフトウェアを使用して、カーボンファイバー複合材料、グラスファイバー複合材料、17-4PHステンレス鋼パーツの性能をすばやく検証できます。


セキュアなデジタルインベントリ: Markforgedはクラウドデータセキュリティにおける業界のリーダーで、ISO/IEC:27001認証を取得した初のアディティブ製造プラットフォームです。

EOATを3Dプリントすることで時間とコストをどの程度削減できるか

MarkforgedのプリンターでEOATを3Dプリントすることで、製造オペレーションの効率化、サプライチェーンの柔軟性向上、コスト削減をどのように実現できるのでしょうか。


当社のエキスパートが、Markforgedプリンターによるお客様の工場でのコスト削減の見積もりをお手伝いします。

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